いつか「天竺的交通事情」と題して、その実、牛丼について語るという愚行を犯した。今回は「続天竺的交通事情」と題して、その実、駅蕎麦について語り愚行を上塗ってみようと思う。
以前から疑問に感じていたのだが、新橋駅の高架下で営業するポンヌフという蕎麦屋が不思議だ。新橋駅という土地柄そこそこ名前の通っている店だが、蕎麦屋でありながらフランス語的な店名というのはどういう了見だろう。私を懊悩の淵に叩き込んでやまないポンヌフである。困ったものだ。
困った時は金田一だ。京介だ。いや新村出の広辞苑も捨て難いと思ったが、私は今天竺にいたのであった。天竺には新明解国語辞典はないのだよ。
しかたがないので、Wiki様からの御神託を請う事にした。
Wiki様によるとポンヌフとはThe Pont Neuf , French for the "New Bridge," だそうだ。New Bridge?新しい橋? あ~新橋だ!
なんてこったい駄洒落じゃないか。
閑話休題。駄洒落にうつつを抜かすポンヌフは忘れよう。
駅蕎麦といえば、やはり品川駅構内の常盤軒だろう。品川駅構内および各プラットホームを占拠している常盤軒であるため、これもまた名前の通っている店だ。注目すべきは同じ品川駅内であるにもかかわらず各支店毎に特徴を持たせているところだ。掻き揚げを売りにしている常盤軒もあれば、カレーを売りにしているところもある。その中でも最も有名な常盤軒は、東海道線下りホームこと11-12番線の常盤軒だ。ここはすごい、駅蕎麦でありながらビュッフェ・スタイルなのだ。英語読みだとバッフェ・スタイルなのだ。
蕎麦屋でありながらフランス的なビュッフェ・スタイルとはどういう了見だろうと読者諸氏におかれては疑問を呈することとなろうが、安心してほしい。ほんとはビュッフェ・スタイルとは書いていない。
ほんとは「お好みそば お好みで好きな具材を好きなだけトッピング 380円」と書いてある。つまりは、ネギ、ワカメ、味付山菜、鰹節、魚天麩羅、天かす、きざみ油揚げなどなどの具材が入れ放題なのだ。新明解国語辞典第五版は7万6千項目の収録語数を誇ることで有名だが、私の辞書には「遠慮」という文字が収録されていない。お好きなだけトッピングと聞けば、これはもうたくさんトッピングする。蕎麦であるにも関わらずカキ氷のようなシルエットとなったところで、これもまた無料のゆで卵を一つ付けてもらう。出社前にこんなものを食べていては昼飯が喰えなくなるのだが、私の辞書には「計画性」という文字も収録されていない故、その時はあまり気にしない…が、朝、会社で気分が悪くなっていた。後悔先に立たずである。
閑話休題。常盤軒のことは忘れよう。
ほんとは、沼津駅、静岡駅などで営業する東海軒の蕎麦が好きなのだ。黒々とした関東風のつゆに見せかけ、イリコダシ入りの甘めの味付けで大変おいしい…と思ったが、これは別に東海軒の手柄ではないような気がしてきた、基本的に静岡の蕎麦つゆは少し甘めでおいしいのだ。シラスとか桜海老の産地でもあり、掻き揚げの具材も豊富なので、やはり蕎麦は静岡に限るようだ。
さて、蕎麦は静岡に限ると結論がでたところで本論文を締めくくろうと思うが、冷静に考えてみると。今回は蕎麦に関する考察ではなく続天竺的交通事情の回であった。このままでは、本論文を締めくくれないではないか。何故、蕎麦に関して語っているのだ。私よ。
じゃあ、こうしよう、実は天竺的交通事情は三部作であったのだ。
またの機会に「真天竺的交通事情」の回をやるので、そこで天竺の交通事情を語ろうと思う。だんだん「猿の惑星シリーズ」のような展開になってきたが、安心してほしい。欧米にはTrilogyという作劇方法があり、三部作の最終章では、必ずすべての謎が明らかになるというお約束があるのだ。




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