子供の頃、誰もが憧れた職業といえば世界征服だろう。
世界征服はいいぞ。なんたって世界で一番偉いのだ。
世界征服の過程。これは非常に難しいと思われる。なぜならば誰も成し遂げていないからだ。不可能に近い工程をここで考察しても意味はないので、仮に世界征服を完遂したとして話を進める。
征服者様、征服者様!
はいはい。なんでせう?
地球温暖化、宗教対立、核戦争、エネルギー、食糧と水、南北格差など
世界が抱える諸問題については、征服者様はどうお考えで?
その件については、早速ミーティングをします。
私のプロジェクトでは前向きな意見でないと採用しませんから、
不断の努力で仕事を完遂すれば、必ず最良の結果を得られます。
お任せください。
いや、そういうのではなく。
具体的にどのような施策で対処するのかご説明願えますか?
具体的に説明すると、みんな根性で頑張れということですな。
冷静に考えてみると、私にはその程度の返答しか出来ないような気がする。これでは「ま、あなたも頑張るように希望します」とかいってたお爺ちゃんと同じになってしまう。やはり、世界征服なんてのは夢に過ぎない。あんなものは職業として駄目だ。
やはり、子供の頃の憧れの職業といえば、「料理天国」の龍虎さんだ。
毎週、「料理天国」で試食し「おいしいですね」と言っていれば仕事になるのだから、あんなうらやましい仕事はないものだと力説してみたところで、今の若い人は「料理天国」自体を知らないのかもしれない。
「さぁみなさん 料理天国の時間ですよ! どぉもー芳村真理でぇ~す」というやつだ。今思えば、土曜の夕方はTBSの天下であった。
「まんがはじめて物語 」から始まり「 料理天国 」「 まんが日本昔ばなし」
「巨泉のクイズダービー」そして、長さんの「8時だョ!」ではじまるアレだ。
「8時だョ!」については「8時だョ!の考察」の回で言及しているのでご参照願いたい。
本題は「料理天国」の龍虎さんだ。よく考えてみれば、現在でいうグルメレポーターなのだが、龍虎さんは風格がちがう。なんたって龍虎さんはしゃべらないのだ。唯一しゃべることといえば「おいしいですね」だ。
実に素晴らしい。なんて簡潔且つ明瞭且つ正直。「味の宝石箱や!」とかなんとか意味不明なことを言っている奴に見習わせてやりたいところである。
共演者の芳村真理から「まぁ、ほんっとに龍虎さん。うらやましい!」だとか、挙句「ただ食べてるだけの龍虎さん」などと素敵な中傷を受けているにも関わらず、ひたすら「おいしいですね」しか言わないのだ。初志貫徹。無頼漢。男子黙して多くを語らずである。
まさに男の中の漢。それが龍虎である。当時の子供たちは例外なく龍虎に憧れた。そして、私もその一人であった。しかしながら、「料理天国」の龍虎さんの仕事に就くためには、まず相撲取りにならなくてはいけないらしいという事実を知った時、夢を捨てた。
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